中央市場の周りには人が群がる食堂と閑古鳥の店がその差も歴然と並んでいる。ガイドブック常連のZa-za ユにはいまだ足を踏み入れたことがないが、その隣のDa Marioには一度だけ入った。「安くてうまい」というので外国人から地元民までが押し寄せる店である。外だけでなく、店内にも待つ人がぎゅうぎゅうに詰まっていて、4人席は相席御免、しかもテーブルの狭いこと、一人一皿が限度で、肉とコントルノで二皿になると置き場がないので、一皿は必ず手で持っていなくてはならない。いくら美味しくても落ち着かないったらない。いや、美味しいといってもまぁごく普通の美味しさであって、これならもうちょっとゆったりと美味しく食べられるほうに行く。というわけで、我々が向かうのはこの店。市場正面の通り一面に並ぶ露店の裏側にひっそりとトラットリアの看板を掲げるここも、13時のピークには並ぶ覚悟の食堂だが、テーブル間隔も適度で、何よりも天井が昔ながらの高いヴォールトだから圧迫感がない。席がなければワインでも飲みながらのんびり待てばいいのである。
市場食堂にメニューはない。店員が口頭でまくしたてるのであるが、ここではすでに年金生活者であろう年齢のおじさんが、お客の目を見て、ひとつひとつじっくりと諭すように料理名を告げる。料理を聞き、運ぶのはこのおじさんともう一人同年齢のおじさんの二人。若手はレジ、飲み物担当、厨房に分散している(厨房にはお母さんもいる)。パスタは正しいアル・ポモドーロかスーゴのほか、リボッリータ、ラヴィオリ・コン・スーゴもある。量は多くはない。しかし、午後を軽やかに過ごすなら、いきなりセコンドに行くべきである。ロンバティーナ、ビステッカ、アニエッロ(仔羊)、スペッツァッティーノ(一口サイズの肉の煮込み)、ブラチョーラ・アッラ・リヴォルネーゼ(薄切り牛肉の野菜入りトマトソース煮)など全てにおじさんが“バランスを考えた”コントルノがついてくる。アニエッロにはじゃがいものローズマリーロースト、ブラチョーラにはファジョーリ・アル・ウッチェッリーノ(白いんげんのトマト煮)といった具合に。ビステッカにはじゃがいものフリットとサラダがついていた。よそのテーブルを見ると、みんなビステッカを食べている。いいなぁ、今度は4人で昼ビステッカといこう。
ここではワインは1.5リットル瓶からカラフェに移している。これが軽くて酸味もほどよくて、食事にぴったりなのだ。これを見て、我が家で夕食を食べる時はこれにしようと思った。最近のワインはやたらと濃く重く、値段も高くて普段の食事に気軽に飲めるものが本当に減ってしまった。毎日飲む我々にとって1本6ユーロもすれば、30日で180ユーロ、しかも一瓶で終わらないこともあるから月々の酒代はどうしたってその1.5倍はかかる。外食すればワインはもっと高くなるわけだし、お呼ばれに安酒は持って行けない、云々と、酒代問題は結構深刻。庶民はなんとかして酒代を抑えながらも、妥協はせずに努力を続けていかねばなりません。(ま)
●店データ P.zza S.Lorenzo,8r Tel055-281941 昼のみ営業、日曜休み
2003年11月
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