あまり流行ってほしくないけれどつぶれても困る、というのはわがまま以外の何ものでもないが、ついそう思ってしまうのがこの店だ。
ポンテ・ヴェッキオの袂、ウフィッツィ美術館の足元、これだけで相当に観光っぽい店を想像してしまうが、(実際、観光客も結構来る)料理は妥協ゼロ、骨太でしかし味のピントは狙いすました、適度に緊張感のある正統派トラットリア料理を楽しめる数少ない店である。
パスタは前哨戦、季節の野菜を単品でソースに仕立てたタリエリーニを。秋にはポルチーニ、冬はカルチョーフィ、そして春先にはピゼッリ(グリンピース)。勝負は肉料理である。しっかりと煮込んだ、ローストした、グリルした、フリットにした牛、豚、仔羊、鶏、ウサギ、どれもがっちりと肉のうまみをため込んでいて、絶対にはずれがない。仔羊の脳みそのフリットはまるで白子のようだし、サルシッチャと白いんげん豆の煮込みは肉と豆がお互いに味を仕掛けあってとても濃い。食べ終わって、あぁ旨かった、降参です、という気持ちになる。
肉はちょっと、と思う人はエビカレーを。ガンベリをココナツベースの鮮やかな黄色のカレーソースで煮込み、バターライスを添えたピアット・ウニコは、店主が川向こうの「イル・カッミッロ」でカメリエーレをしていた縁で、独立時にメニューに加えた当時としてはモダンで今やクラシックな一皿である。
ドルチェには自家製のケーキか、近頃では珍しい焼き洋梨を。どちらもやっぱり時間と手間がかかった素朴だけれど味わいが本当に深い、締めにふさわしいドルチェだ。
●店データvolta dei Girolami,28r tel.055-213619 日曜・月曜休み
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